#9 東京→金沢ヒッチハイク-到着-
※この記事は#8の続きです。
成す術がないとはこのことを言う
私たちは串揚げのお兄さんの車に乗り、次の横川SAを目指すことになりました。串揚げお兄さんのカーナビが訳も分からない場所に私たちを連れて行くというハプニングもありましたが、無事目的地まで送ってくださりました。本当にありがとう!!
横川SAに着き、ヒッチハイクを始めたところで軽く雨が降り始めました。しかも、このSAはこれまでのSAに比べて台数が圧倒的に少なく、かなり嫌な予感がしました。そして、その後すぐにその予想が的中していることに気づきました。
周りを見ると歩いている人がほとんどいないうえに、大きいSAなので自分のいるところと反対側の出入り口から人が往来することも多く、声をかけられる人が少なくなってしまいました。
しかし、だからといって諦めるわけにもいかないので、そんな状態で声を掛け続けました。40分ほど経ったとき、ある1人の男性に声をかけるとこんなことを言われました。
「自分は岐阜方面に向かうため、次のSAの東部湯の丸SAまで連れていける。しかし、東部湯の丸SAはここよりも台数が少なく、そもそも今自分たちがいる横川SAや東部湯の丸SA(長野方面)から北を目指す車は殆ど無い」と告げられました。
雨が降っていて、車の台数も少ない。
そのうえ、私たちが向かいたい北方面に行く車はほとんどない。
これらの事実は絶望以外の何物でもありませんでした。
久しぶりに乗せてもらえそうでしたが、次の東部湯の丸SAに行ったところで状況は悪くなるだけらしいので、この男性の車に乗ることは断らせていただきました。雨が降る中、放心状態でスケッチブックを持ち続けることしかできませんでした。
選択肢
そんな状態で20分ほど立ち尽くしていると先ほどの男性が駆け寄ってきて、
「金沢には今日中に着かないといけないの」と聞かれ、そんなことはないと伝えると、
「代案として遠回りだが岐阜方面に一旦向かって、北上する方がいい、それなら岐阜辺りのSAまで送っていける」と告げられる。
つまり、岐阜辺りのSAでは名古屋周辺から金沢に向かう車に出会いやすいため、時間はかかるけどここに残ってヒッチハイクするよりもいいのではないか。また、今なら岐阜のSAまで乗せていってくれるという提案でした。
ここに残って北上していく車を見つけるか、
男性の車に乗って岐阜方面に向かいSAで一泊、その後岐阜のSAで降ろしてもらって、そこから金沢に向かう車を探すか。
究極の選択でした。
ここにとどまってヒッチハイクを続ければ、誰も乗せてくれないかもしれないが、乗れれば今日中に金沢に着く可能性がまだある。岐阜ルートを選べば、今日中に金沢は無理ですが、明日には金沢に着く可能性が高い。
10分ほど考え、私がいよいよ心の中でその場にとどまるという旨の発言をしようと心の準備をしているとき、張り詰めた空気の中「岐阜ルートにかけてみますか?」と後輩が発言し、行き先が決まりました。
この男性はトラックの運転手をやっており、規則で今日は20:00までしか車の走行ができないようなので、今日は駒ヶ岳SAというところまで行って一泊。翌朝7:00に再出発して岐阜まで向かうということになりました。
しかし、
どうやら今回のヒッチハイクにおいて神様は私たちを甘やかすつもりはないらしい。
空白の11時間
トラックでしばらく進むと大雪が降り始め、次第に道路が込みだしたうえに、速度制限がされ始めました。
トラックの運ちゃん「こりゃ駒ヶ岳SAは無理だな」
その後も運ちゃんはできるだけ急いでSAに向かってくれたのですが、あと少し時間が足りず、駒ヶ岳SAの一つ前の小黒川PAで一泊することになりました。※PAよりSAの方が施設の規模が大きく、長い時間営業していることが多い。
運ちゃんにお礼を言って翌朝7:00まで一旦別れ、とりあえずPAの施設内に入っていきました。とりあえずフードコートでラーメンでも食べるかと思ったら、まさかの20:00に営業終了、その時の時刻は19:57。さすがに今から注文することは良心が痛んだので、同じく20:00で営業終了の売店でわずかに残っていたパン2つを急いで購入しました。
売店はシャッターで閉められ、残った自動販売機スペースだけで翌朝7:00まで過ごすことに…。
寝る場所も座る場所もやることもないので、最初の2時間ほどは後輩と立って話しながら時間をつぶしていたのですが、それでもまだ22:00。睡魔はあるものの、あまり床に座りたくなかったので我慢していたのですが、諦めて体育座りになって寝ることにしました。
ですが、人間が寝る姿勢ではないうえに暖房が切られて薄ら寒いので、思った通り最悪の寝心地でした。なんとか眠りに落ちるものの、1時間程度寝ては起き、寝ては起きを3度ほど繰り返すと、体が寝るのを拒絶するかのように目が覚めてきたので、そこからはずっと立ちながら携帯をいじって時間をつぶしました。
20:00の時点ではこの部屋に11時間は暇すぎてつらいと思っていましたが、睡眠と生産性のあることはできない(頭が疲れすぎて)と認識してしまうと、他にできることは何もないので、スマホをいじることに集中できて逆に楽しくなってきていました。
人間は選択肢があるからつらいのだ。
到着
スマホと後輩との会話で魔の11時間を乗り切り、 7:00に運ちゃんと合流。
そして岐阜県を目指して出発しました。車内で後輩と話し合ったのですが、ヒッチハイクで向かうのは岐阜駅までにすることにしました。ヒッチハイクにこだわるか悩んだのですが、日程の関係とどうせなら他の県も観光しようぜ!ということで運ちゃんと一緒に岐阜駅に向かうことにしました。
3時間後、無事岐阜駅に到着して運ちゃんにお礼を言って別れました。前日と今朝を合わせたら合計で6時間くらい乗せていただきました。どんだけ親切なんだよって話です。
ヒッチハイクをやるたびに自分の器の小ささに気づかされて、もっと頑張ろうと思わされます。
その後、岐阜県と名古屋を観光して高速バスで金沢に向かい、兼六園や海鮮を堪能して今回の旅を終えました。
おわりに
今回のヒッチハイクは本当にハプニングが多くて疲れました。記事にしていないハプニングもいくつかあって、ヒッチハイクの神が学生最後のヒッチハイク故に試練を与えていると本気で思っていました。
というようにヒッチハイクは大なり小なりこのような不測の事態が毎回起きます。問題が起きたときは動揺しますし、普通の移動の5倍は疲れて、3倍以上の時間がかかります。しかし、問題の数と比例するように毎回出会いがあります。ただのボードを掲げている知らない人を車に乗せてくれる人や食べ物を恵んでくれる人、私たちを見て鼓舞してくれる人もいました。そういう人たちに出会うと、友達からも家族からも貰えない特別なエネルギーを毎回貰っているような気がします。そのエネルギーのおかげでこの記事を書ききれそうなのかもしれません。このシリーズ書くの本当に大変だった…
そんなわけで、
自分の人生に少しだけ刺激が欲しい方はぜひやってみてはいかがでしょうか?
今回お世話になった方々、本当にありがとうございました。
以上、東京→金沢ヒッチハイクでした!
おわり☆